2013年10月25日金曜日

海辺のカフカ

今日は気分転換に大好きな小説の話をしたいと思います。

実はこの小説に出会ったのはフランス滞在中というね。

パリにジュンク堂がありまして、(もちろん日本の本しかありません!)


割高なんですけど、品揃えには文句ないと思います。
そこで、村上春樹の『海辺のカフカ』を発見してしまい、ついつい手を出してしまった次第です。

海辺のカフカの前は、『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』が好きだったんですけど、今は断然『海辺のカフカ』が好きです。
よく読み返しますが、毎回、読む度に泣いちゃうんですよ。


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ストーリーを手短かに言うと、

主人公の「田村カフカ」は、15歳の誕生日と同時に、住んでいた東京を離れ、四国の高松(香川県)へ家出をします。彼は4歳のときに母親に捨てられ、母親は実子でない「姉」を連れて東京を離れていきました。彼の中には、「カラスの少年」というもう一人の人物がいて、彼に何かしらのインスピレーションを与え続けています。
「田村カフカ」の父である田村浩一は、日本では有名な彫刻家です。しかし、「田村カフカ」は、父にある「呪い」をかけられます。
「お前は、お前の父を殺し、実の母と姉を犯す」
その「呪い」の意味が、カフカの四国への旅によってわかっていきます…
彼は旅の途中で「さくら」に出会い、彼が世話になる高松の私立図書館甲村記念図書館で性同一性障害の「大島さん」、館長の「佐伯さん」と出会います。時がたつにつれ、彼が探していた「母」と「姉」の存在の謎が徐々に解けていきます…。

一方、別のストーリーで、第二次世界大戦中に山梨の山奥でキノコ取りをしていた小学校のクラスで、先生以外の生徒が全員一定期間気絶をするという事件がおこりました。しかし、東京出身の「育ちの良い頭の良い」生徒だけが、2週間ほど目がさめず、やっとさめたところで、字の読み書きができず、簡単な会話しかできない「障害」を一生持つからだになってしまいました。そのかわり、「ネコと会話ができる」能力を持つようになりました。その人は「ナカタさん」といいます。
「現在」中年になった「ナカタさん」は、東京都から補助金を貰いながら、ネコと会話が出来る特性を生かして(当然他人には隠しています)、中野区で「ネコ探し」の仕事をしていました。字が読めないので、遠くにはいけず、中野区のみですべての生活をやりくりしていました。しかし、タマだかゴマだかのネコが見つからず、彼はずっと探し続けるのですが、謎の人物「ジョニーウォーカー」に出会います。彼と出会ったことによって、ナカタさんのターニングポイントがやってきます。彼は「やるべきこと」を果たすために四国に行きます。その途中でトラックの運転手の「ホシノちゃん」と出会い、彼らが一緒にその役目を果たしにいきます。それが結果的に、「田村カフカ」の果たすべきことを「手伝う」ことになるのです。


この「田村カフカ」と「ナカタさん」のストーリーが同時展開していき、それぞれのストーリーを汲み取って、一つの「まとまり」となります(村上春樹の小説の書き方の醍醐味ですよね)。そして、彼らが同時に動いていることで、小説の「本質」にたどり着くことができます。


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この小説は、現在における「大切なこと」を教えてくれるものだと思います。
皮肉なことに、この小説では、世間的に「間違っている人」や、「弱者」や「のけもの」にされている人たちが、物事の本質を知っているのです。そして、「悪」の存在というのは、私達の身近にあるものであり、ちょっと目をはなしているすきにはびこっているものなのだと。

ワタシは、特に、ナカタさんとホシノちゃんのストーリーが好きです。彼らのところを読んでいると、いつも泣いてしまいます。笑
なんで「彼ら」なんだろう。なんで一番大事な事をわかっているのは「彼ら」なんだろうか。今の世界もこういうものなんじゃないかなと思います。
カフカが出会う人々も、本当にそれぞれが歩んだストーリーがあって、それぞれが社会的に問題を抱えながら生きてきた人たち。それだからこそ、彼らがいうひとつひとつのセリフには本当に重みがあって、ああ、これが巷にうまっている「聞こえない声」なんだと思いました。

なので、特に結末があるわけではないんですけど、この本を読み終わっても、あまりすっきりしません。いつも、世の中の「不条理さ」に悔しくて、読み終わるたびにえんえん泣いています。笑


きっと、世界はそういうものなのかもしれません。けど、この小説で書かれている「大切なこと」は、きっとこの世界でもころがっているはずだから、ワタシはそういうことを見ていられる人になりたいなと思います。

この小説は、本当に、現在問題になっているあらゆる問題について書かれているし、「ぴったり」なんです。うまく言えないんですけど。


きちっとストーリー展開されていて、結末が欲しいという人にはあまりおすすめできるものではないかもしれませんが、そういう人にもぜひ読んでほしい小説です。

ときには、「結論がないからいい」ということもありますしね^^











それでは、殴り書きでしたけど、気分転換でした〜♫



Salut ♫










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